【クラインの壺】現代にも通じる仮想現実の発想に驚き!

レビュー

知り合いにおすすめされて、「クラインの壺」という本を読みました。

 

実は、おすすめされたのが数ヶ月前だったんですが、そのときは、色々と読みたい本が溜まってたんで、結構後回しになってたんですよね。

 

この前、出張に行く機会があり、良い機会だからと、この本を購入し旅にお供に持っていきました。

 

これは、「正解」でした。
この「クラインの壺」という本がかなり面白く、数時間の移動も何のその。
時間を忘れて、この本に夢中になる事ができました。

 

出張先でも、コロナ禍ということもあり、飲みに行くこともできなかったんですが、この本のおかげで、ホテルでも暇を持て余すことも無く、楽しい時間を過ごすことができました。

 

ということで、
この記事では、「クラインの壺」という本を読んだ感想をご紹介しようと思います。

 

クラインの壷 (講談社文庫)

 

この記事では、少しネタバレも含みますので「クラインの壺」を読むまで、内容は知りたくない!という方は、この先の記事は読まないほうが良いですよ。

 

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ストーリー

2000万円でゲームブックの原作「ブレイン・シンドローム」を、ある謎の企業「イプシロン・プロジェクト」に売却した上杉。

 

「ブレイン・シンドローム」の世界を体験できる、バーチャルリアリティ・システム「K2」のテストプレイヤーとして携わることになる。

 

ともにテストプレイヤーとして選出された高石梨紗と次第に親密な間柄になっていく。
そんなとき、「あること」が発生する。

 

 

作者「岡嶋二人」

「二人」なんて言う名前は珍しいと思っていたら、どうりで二人のハズ。

 

岡嶋二人は、徳山諄一と井上泉の二人でした。

井上泉は後に「井上夢人」を名前を変えて活動しています。

「井上夢人」名義で、魅力的なSF作品を世に出しており、この「クラインの壺」はその原点とも言えるべき作品のようです。

 

登場キャラクター

 

上杉彰彦

この物語の主人公です。

 

「ブレイン・シンドローム」というゲームブックの原作者
テストプレイヤーとして、「ブレイン・シンドローム」の世界を体験出来る仮想シュミレータ「K2」を体験する。

 

梶谷孝行

イプシロン・プロジェクトの責任者。
上杉から「ブレイン・シンドローム」購入し、K2のテストプレイヤーとして上杉を招待する。

 

高石梨紗

上杉とともに、「K2」のテストプレイヤーとして選出された一般人。

 

読者を騙す展開が面白い!

中盤の展開がかなり面白い。読んでいる読者も騙されてしまうことになります。
しかも、主人公と同じ気持ちになる。というのも、「これは○○か?それとも●●か?」というのが、読んでいる読者もわからなくなるんです。

 

最後はまんまと作者に嵌められたと思うんですが、いつからそうなっていたのか・・・・?

それは、主人公とともに読者もわからない状態になります。

 

だから、おもしろいと思いました。

 

現代の「バーチャル」と言われているものは、視覚のみに仮想現実を体験させるというものですが、「K2」は人間の全身に仮想現実を体験させるというもの。全身や喉の奥までビニールのようなものに包み、その圧力や熱によって、全身に仮想現実を体験させるというシステムです。

 

この発想は無かった。だから、実際に作中に出たときは思わず「なるほど!」と思った。作中で主人公が体験した、「おえっとなる感じ」は、現代の視覚のみに仮想現実を体験させる方法ではならないでしょう。

 

作中に出てくる「K2」だからこそ、「おえっ」となる感じにまで体験できるでしょう。

 

・・・ただ、そんなもので体を包んでしまうと、息ができないんじゃないかな・・・
と思ってしまったのは僕だけじゃないだろうが、多分そのあたりは、「息ができるような通気性」は持ち合わせているんでしょうね。

 

でも、あまりにもリアルな仮想現実は、もしかすると、残酷さも兼ね備えているかもしれないとも思いました。

 

ゲームとはいえ、人を殺してしまったりすると、目を覆いたくなるような映像を見ることになるでしょう。

 

それに、作中に登場した「K2」というシステムでは、痛覚もプレーヤーに与える事ができるので、痛みを感じながらゲームをするということになると、それには苦痛を伴うことになります。

ですので、現実に「K2」のようなシステムがあったばあい、そのゲームをするかと言うと・・・
ちょっと遠慮するかもしれない^^;

 

作中では、実際にゲームのキャラクターから手榴弾を投げられて、半壊した人体が目の前に転がってきたようなシーンが会ったが、こんな事が仮想現実の中で体験してしまったら、トラウマになってしまうでしょうね。

 

中盤まではちょっと「だるく」なる

読了後は「かなり面白い!それに、最後までの展開が秀逸だ!」なんて、思っていたが、
実が開始から中盤まで、事件もなく、特に何か面白いことが起こるわけではないので、読んでいるのが少しだるくなった。

 

中盤から終盤までの展開はかなり熱が入り、僕も一気に読んでしまったが、最初から中盤では説明は解説が比較的多く、場面展開も少ないので、正直飽きていました。

 

その、飽きてきたところで、「あること」が発生し、そこから一気に、面白い展開が待ち受けているのだから、読了後のかなり満足感を感じました。

 

ですので、中盤までのだるくなりそうな展開を少し我慢できれば、後は一気に読めるだろうと思います。

 

まとめ

この記事では、
「クラインの壺」という本を読んだ感想をご紹介しました。

 

「K2」というバーチャルリアリティシステムを、小説の中とはいえ、発想した作者の「岡嶋二人」はすごいなと、思いました。

 

「クラインの壺」という小説が発表された時代は、

まだ、パソコンをマイコンという人がいたり、

2021年時点でWindows10を発売しているマイクロソフトの主流商品はMS-DOSだし、

Windowsは出ているけど、Windows2の時代で日本では発売されてないし、

ゲーム機といえば、ファミコンにドラクエ3が発売されていた時代です。

そんな時代に、
「K2」というバーチャルリアリティーシステムを発想した「岡嶋二人」のSFに対する世界観は、時代を見通す力があるんじゃないかなと思いました。

 

読んでいても、そんな昔に発表された小説とは思えず、現在の世界でも通じるような、新鮮さを感じました。

 

今まで、この作者の小説は読んだことは有りませんでしたが、
「岡嶋二人」や、その中の人の「井上夢人」の小説を色々とチェックしていこうと思います。

この記事を読んで、「クラインの壺」に興味を持ったら、あなたもぜひチェックしてみてくださいね。

 

クラインの壷 (講談社文庫)

 

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