僕は出張に行くたびに本を購入します。
移動時間が長いと、必ず本を購入しています。
前は、移動時間を過ごすときはPCやタブレットに色々と音楽や動画、小説なんかを入れていたんですが、重かったり、バッテリーが持たなかったり、離発着時は電源を付けることができなかったりと、
まぁ、不便この上ない。
その点、本ならば軽いし、飛行機で読んでても全然気をつけること無いし、なんせ、バッテリーが切れることがないしね。
しかも、文庫本サイズならばジャケットのポケットに入るので持ち運びも楽だし、
思わずなくしてしたとしても、まぁ、慌てることもありません。
※PCやタブレットがなくなったら、めちゃもったいないですから・・・
ということで、長期出張では本を購入しています。
今回、皆さんにご紹介する本も、そんな、出張時にもって行った本なんですよね。
しかもこの本、かなり面白い小説で、普段ならば暇な移動時間も全然飽きることなく楽しく過ごすことができました。
この記事を読んで、読みたいと思っている方がいたらぜひ読んでみてくださいね。
ご紹介する本
「過ぎ去りし王国の城」
著者:宮部みゆき
2015年4月に単行本として発売されている本です。
2018年6月には文庫化されています。
こちらのサイトは「過ぎ去りし王国の城」のページです。
かんたんなあらすじや登場人物。また、イメージビデオなど紹介されていますので、気になった方は、チェックしてくださいね。
以下の記事を読む前に注意事項
ちなみに、一応大事な部分は隠してますが多少ネタバレしています。
(ノ`Д´)ノ
「本をすべて読むまで、すべての情報は知りたいくない!」
という方は、これ以降この記事は読まないほうが良いですよ。
この記事を読む前に、まずは「過ぎ去りし王国の城」を読みましょうね。
あらすじ
中世ヨーロッパの古城が書かれたデッサン画。
それに引き込まれて、思わず自宅へ持ってきてしまった主人公の尾垣真は、
なんと、その絵に入り込める事を知った。
絵にアバターを書くことでその絵の中で活動できることを知ったが、
自分の画力では満足にアバターを書くことができないので、美術部員の城田珠美に制作を依頼。
何とか自分のアバターを書いてもらい、絵の中を探索していると、
塔の中に女の子を発見!
なぜ絵の中に女の子がいるのか?
閉じ込められているのか?
それとも自らの意思でいるのか?
そもそも、この絵はなんなのか?
いろんな謎が交錯する中、絵を探索者するもうひとり、大人のパクさんと出会い謎を追うことになる。
そこで、三人は10年前に現実の世界に起こった失踪事件が関係していることを見つける。
著者の宮部みゆきさんとは?
1960年東京生まれ。87年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞してデビュー。92年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞長編部門、同年に『本所深川ふしぎ草紙』で吉川英治文学新人賞、93年『火車』で山本周五郎賞、99年『理由』で直木賞を受賞。その他『模倣犯』『ブレイブ・ストーリー』『ソロモンの偽証』『悲嘆の門』『荒神』『この世の春』『あやかし草紙』など著書多数。角川文庫では『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』などの、ライフワークとも言える江戸怪談の「三島屋」シリーズを展開中。
(https://promo.kadokawa.co.jp/sugisarishioukoku/から引用)
いろいろな賞を取られている方ですよね。
「模倣犯」や「ブレイブ・ストーリー」は映画にもなっているので有名ですよね。これらの小説も面白かったです。
それに、宮部みゆきさんってファンタジーの小説もよく書かれています。
「ブレイブ・ストーリー」はもちろんですが、ゲームが元ネタになった「ICO」や、明らかにゲームの世界観になっている「ここはボツコニアン」なんかも、僕が好きな小説の一つです。
最近では「ソロモンの偽証」を読みました。ハラハラする展開にかなり引き込まれましたね。
「過ぎ去りし王国の城」を読んだ感想
「過ぎ去りし王国の城」を読んで、僕が、
( ・`д・´)
「ここが面白い!」
って思ったポイントをあげていきますね。
ファンタジーなのにすごく現実味を帯びている話
一見SFファンタジーと思われがちな話だけど、とことんまで現実的な話として感じることができます。
絵に入り込めることを知った主人公は、適当に棒人間を書いてみても、絵ではそのまま動き出す。
つまり、目を書いていないので絵に入った途端何も見えないし、耳をかいていないので何も聞こえない。関節を書いていないので、足も手も動かない。
そこは、ファンタジーにありがちなご都合主義でいいんじゃないか?って思ったんだけど、よく考えてみると、目がないから見えないのは当たり前。
そんな細部までリアルを追求しているから、内容はファンタジーな話なのに、なぜかすごく現実的な話になっていて最後まで飽きさせないっていうか、読者をシラケさせない。
宮部みゆきさんはブレイブストーリーとか、ICOとか、バリバリのファンタジーものをかいているので、「過ぎ去りし王国の城」を手にとったときも、そういう系統かと思ったけど、全然違いました。
絵の中に入れるという、下手な作家が描くとどこにでもありがちなファンタジーものになりそうだけど、最後まで全然そんな事はなく、リアルで現実的なファンタジーになっています。
絵の中と現実の事件がリンクする
絵の中に入れる事を知った主人公たちが、絵の中で女の子を見つけます。そのことについて、いろいろ探していくと、絵ではない現実にあった事件にリンクしてくるんです。
そこが、物語のポイントになってくるから、ただのファンタジー的な感じにならなくて面白いです。かなり現実離れした話なのに、すごくしかも身近に起きそうな話に感じるのは、絵の中とある事件が結び付いてくるからだと思います。
登場人物がイロイロと闇を抱えている
登場人物、特に主人公の尾垣真は、完全無欠の主人公ではありません。
かといって、のび太のような、何もできない人でもない。
勉強も運動もクラスの真ん中といった感じ。
どちらかというと、あまり目立たない存在。
ただ、クラスからはあまりにも普通過ぎて、チョット面白くないやつと思われているような存在。
そういう、「ザ普通」のような登場人物が頑張る姿が僕は面白いと感じました。
登場するヒロイン、城田珠美は成績が優秀。絵もやたら上手い。でもクラスからはハブられている存在。周りのクラスメイトに興味がなさそうな感じ。初めて主人公が話したときも、どちらかと言うと冷たい印象だった。
それでも、物語が進むにつれて主人公とヒロインの間に、愛情・・・というかどちらかと言うと友情が芽生えていく。
城田珠美もまた色々と闇を抱えている。その闇が物語にアクセントを加えてくれるので、城田が魅力的に思えてくる。
登場人物の中で主人公と行動をともにする唯一の大人が「ぱくさん」。でも、ぱくさんも闇を抱えている。
大人なので頼りがいのある部分も持ち合わせてありつつ、不安要素というかちょっと頼りなさげな面があるとことが、ぱくさんというキャラクターの味だと思う。
ただ、ぱくさんがエンディングにつながる最も重要なポイントを指摘してくるので、重要な役回りなんですよね。
過去を変えたい人と、過去を変えたくない人
過去を変える事ができるとしたら、あなたはどうする?
もしアナタが、過去を変えたくないと考えているけど、目の前で無理にでも過去を変えようとしている人がいるのならば、どうしますか?
特別幸せというわけじゃないけど、不幸でもない。そう考える人と、もし、あのときこうしていればと、過去に後悔を感じていて、変えようとしている人がいたら、
過去に対する考え方は人それぞれだけと、「もし変えることができたら・・・」と、行動している人がいたら、アナタはどうするか?
そんな状況に置かれた主人公尾垣真の葛藤がよ~くわかります。
結局最後は、ちょっとカッコ悪い感じになっちゃったけど、「まぁ、そうなるわな。」と思っちゃいます。その部分は最後に主人公に同情しちゃいました。
各々の達成感と主人公のもどかしさが、なんとも言えない感じで、エンディングに向かっていきます。
まとめ
この記事では、宮部みゆきさんの著書「過ぎ去りし王国の城」をご紹介しました。
本のタイトルと本の表紙から「ファンタジーものだ!」と思って購入しましたが、見事に裏切られました。
でも、話はとてもおもしろかったし、引き込まれていきました。
この話には、現実問題で遭遇する社会的な問題も出てきます。でも、それを乗り越えて主人公たちは謎に困難に立ち向かって行きます。
読んだあと、とっても勇気づけられる一冊だと思います。
もし、「過ぎ去りし王国の城」に興味を持ったら、ぜひ読んでみてくださいね。
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