「謎解きはディナーのあとで」(東川篤哉)~聞いた話だけで謎解きをする優秀な執事

本の感想

久しぶりに仕事帰りに呑みに行くことになりました。ただ、誰も誘わず、一人で行くことになりました。
一人で行くと、結局スマホばっかりいじっちゃうんですが、最近、スマホを長くみていると、かすみ目に・・・(歳かなぁ~)

仕事でPCばっかりいじってるので、その後にスマホばっかり見るのも目に悪い。
それじゃ、ゆっくり食事を楽しみながら小説でも読んでみようかな・・・ということで、本屋にぶらっと立ち寄ったときに、見かけたのが「謎解きはディナーのあとで」でした。

「そういえば、数年前にドラマ化してたな~」

と思い、以前から、気にはなっていたけど、読んだことはありませんでした。
面白そうな表紙だし、ちょっと読んでみようかな・・・と気軽な気持ちで購入。

一人での食事は、30分ぐらいで普通は終わるんですが、購入した本が面白くて、ダラダラとそこに居続けることに・・・。

結局、2時間ぐらい小説を読みながらダラダラと呑むことになったのでした。

ということで、この記事では、「謎解きはディナーのあとで」を読んだ感想をご紹介しますね。

この記事では、「謎解きはディナーのあとで」のネタバレを含みます。
「後で読むから、ネタバレは見たくない!」という方は、そっと画面を閉じてくださいね。

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あらすじ

国立署のコンビ、宝生麗子と風祭警部。

風祭警部は「風祭モータース」の御曹司で事件現場にジャガーで乗り込むような男。そして、宝生麗子は「宝生グループ」のお嬢様。そんな宝生麗子の実情に、風祭警部は気付いておらず、普通の女性だと思っている。

宝生麗子は大豪邸に帰ると、地味なパンツスーツからドレスに変身。優雅にディナーを楽しむが、難解な事件のたびにその内容を執事兼運転手の影山に話す。

そして、影山は麗子の推理力の無さを毒舌で指摘しつつ、鮮やかに事件を解決していく。

安楽椅子探偵 影山

「謎解きはディナーのあとで」の特徴は何と言っても、安楽椅子探偵の執事影山が、難事件を宝生麗子の解説だけで事件を解き明かしてしまうという点にあります。

ちなみに、「安楽椅子探偵」と言うのはミステリー小説の用語です。つまり、他者からの話だけで事件を解決してしまう内容のミステリー小説のことを言います。
こういうパターンは古くからあるようで、よく「安楽椅子に座りながら、事件の話を聞いて解決する」というスタイルが合った頃から、安楽椅子探偵と言われたようです。僕はこのパータンは、僕は初めて読みました。

しかも、執事と言いながら、宝生麗子の推理力の無さを「お嬢様の目は節穴でございますか?」という暴言とともに馬鹿にしつつ、それでいて軽やかに事件を解決してしまう。その、颯爽としている雰囲気に、男の僕でも思わず惚れてしまいそうになる、そんな影山の口の悪さや事件の解決力が面白いです。

基本的な話の流れは、前半の事件現場に乗り込む刑事、風祭警部と宝生麗子刑事の捜査パート。そして、後半部分の宝生麗子が屋敷に返った後の影山の推理パートに分かれます。

影山の解説を聞きながら、前半の捜査パートを読み返しつつ、「なるほど、だからこうなっていたのか!」と答え合わせをしているような、そんな面白さがあります。

影山の「お嬢様の目は節穴でございますか?」と言われつつも、「僕の目も節穴だった・・・」と自分の推理力の無さを痛感するのでした^^;

魅力たっぷりの風祭警部

「謎解きはディナーのあとで」の魅力の大半は、執事影山の推理にあるんですが、僕的には、話の前半で繰り広げられる、風祭警部と宝生麗子のやり取りも、魅力があると思います。

見れば誰もがわかるようなことを、さも「推理してやったぞ!すげーだろ!」と言わんばかりに、自慢たっぷりに披露する風祭警部と、

半ば呆れ顔でそんな上司の姿を眺める宝生麗子。

そんな情景が目に浮かぶやり取りは、この小説の魅力の一つでもありますね。

小説では、その無能っぷりを十分に発揮して、物語にコメディーの要素を付け足してくれている風祭警部ですが、

「警部」と言われる役職がついているということは、真面目に昇給試験を受けて合格しているということですから、そこそこ、優秀なのかなと思ったりします。

そんな、きっと優秀だと思う風祭警部でも事件が解決できないということならば、そんな事件を聞いただけで簡単に解決してしまう影山は、鋭い推理力を持っているということなんですね。

半ばパターン化してしまっても面白い麗子と影山のやり取り

発生した事件の内容を影山に話すと、いとも簡単に事件を解いてしまう。
このパターンを何度も読んでいると、そのうち飽きてくるんじゃないか・・・と思ったんですが、

実は、このパターンを逆手に取った影山のセリフも面白かった。

第五話「二股にはお気をつけください」では、
宝生麗子が半ば影山の推理力を当てにして、事件のあらましを話したところ、
影山が「んで、ーーわたくしに謎を解けと?お嬢様がーープロの刑事であらせられるお嬢様が、この一介の執事にすぎないわたくしに殺人事件の謎を解けと?本気でございますか?」というわけです。

この、思わず予定調和に流されてしまいそうになる、第五話あたりに、影山からそんなことを言われて、宝生麗子並みに、読んでいる僕でさえも「はっ」と気付くわけです。

たしかに、一介の執事に頼りすぎているんじゃないか?と。

僕も気付くわけですから、宝生麗子もプライドが傷つけられるほどに気がつくわけです。

「はッ」麗子は催眠から冷めたような気分で、ソファから立ち上がった。
なんということだ、宝生麗子!難事件に頭を悩ませるあまり、刑事としての面子もお嬢様としてのプライドも忘れ去ったか!よりによって自らこの男の知恵を頼ろうとするとは!

~第五話「二股にはお気をつけください」の一部を引用~

宝生麗子は刑事としてのプライドを取り戻し、自ら推理力を働かせてなんとか解決しようと意思表明するわけですが、そんな麗子を見た影山は

「失礼ながらお嬢様、やはりしばらくの間、引っ込んでいてくださいますか?」

と言い放ち、結局影山が解決するのでした。

パターン化しているやり取りと思いつつ、それを逆手に取った影山のセリフと、それでも結局、影山が解決しちゃうというやり取りに、読みながらも、思わず「ふふっ」と笑ってしまう1コマでした。

まとめ

この記事では、「謎解きはディナーのあとで」を読んだ感想をご紹介しました。
まるでコメディ・ドラマを見ているかのような推理小説で、かなり面白く読み終えることができました。

今回ご紹介した「謎解きはディナーのあとで」はAmazonにもありました。

このシリーズは何冊か発売されているようで、3巻には文庫本の特典として、名探偵コナンとコラボしているようです。

コナンとのコラボとは、そちらの話も気になりますね^^

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