飛ぶ教室(ケストナー)~子供に厳しく優しい正義さん

本の感想

以前、このブログでご紹介した「幻想古書店で珈琲を」で紹介されていた本、ケストナーの「飛ぶ教室」。気になったので、思わず購入しました^^

 

幻想古書店で珈琲を(蒼月海里)~本好きのための小説
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↓こちらが今回読んだ本です。

児童文学という子供を対象にした物語ですが、今の時代、大人にも何かと刺さるものがある内容となっていました。

ということで、この記事では、
飛ぶ教室(ケストナー)を読んだ感想をご紹介します。

この記事は多少のネタバレを含みます。
「本をよむ前に知りたくない!」という方は、そっと画面を閉じてくださいね。

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あらすじ

ギムナジウム(日本で言う小学校と中学校が合体したような学校)という学校が舞台の物語。

クリスマスを間近に控えた時期。クリスマスの当日に披露する劇「飛ぶ教室」を練習する5年生の子供達。

そんな中、ある事件が発生。その事件を解決するべく5年生は奮闘することになります。

個性的で魅力的な登場人物

登場人物が個性的で魅力たっぷりです。

5年生の仲間たちでは、「飛ぶ教室」の脚本を書いたジョニー。弱虫のウーリ、読書家のセバスティアン、正義感の強いマルティン、いつも腹をすかせているマティアス。

この登場人物が織りなす様々な出来事が、子供の頃にあった自分の体験を思い起こさせて、何だか懐かしい気持ちにさせてくれます。

それに、周りにいる大人たちや、先生もいい味が出ています。

例えば、市民菜園に置かれている用済みとなった客車の中に住んでいる通称「禁煙さん」。いつも子供達に優しく、それでいて鋭い指摘をしてくれる様な、子供達からも信頼も厚い大人です。
この人が出るたびに「僕が子供の頃も、こういうちょっと変わった大人っていたな~」とか思い出してました。

それと、通称「正義さん」と呼ばれているヨハン・ベーク先生。正義さんと呼ばれるほど、正しいことを行う姿は、生徒からもある意味、畏怖の対象だったようです。

確かに子供の頃に出会った先生という存在の中にも様々な人がいましたが、正義さんのように、「正しいこと」をしっかりとそして、厳しく子供に教える先生はいましたね。

こんな風に、魅力的な登場人物が織りなす「飛ぶ教室」の物語は、何か自分の子供の頃の情景を懐かしく思い出させてくれます。

子供達が自分たちのチカラで物事を解決しようと奮闘する

大人には大人の世界があるように、子供には子供の世界があるということが、この物語を読んで感じました。

子供には子供の出来事があり、それを仲間とともに解決しようとする努力がなんとも微笑ましく、そして、どことなく懐かしく思います。

クリスマスに披露する劇「飛ぶ教室」その脚本を書き、演出、そして、舞台練習まですべて子供達だけで行います。そのさなか、事件が発生します。

仲違いする集団から仲間を救い、プライドを守った子供達。時には、大人にも大切な人を出会わせて、心温まる解決を見せたりと、この物語は子供達が大活躍します。

主人公は5年生ですが、絶対権力を振るう9年生たちや、その9年生に告げ口をする7年生の生徒など、子供頃に感じた「上級生」の存在も魅力的に描かれています。

考えてみると、子供の頃って「上級生」には権力があるように感じていましたね。大人になったときに見れば、年齢の1~2歳差なんて、屁でもないですけどね。当時は大きな隔たりを感じましたよね。

毅然とした態度と大きな優しさを見せる大人たち

子供達が奮闘する物語ですが、この物語に登場する大人も、魅力的で愛するべき存在です。生徒に対する先生の態度と言うのは、現代でも通じるものが在りますね。

例えば、授業前に悪ふざけをしてクズカゴに入って、天井に吊るされたウーリ。

それを見て、クロイツカム先生は「どんな迷惑行為も、それをやった者にだけ責任があるのではなく、それを止めなかった者にも責任はある」と言いました。

たしかにそうだ。このセリフは今の見て見ぬふりをする人が多い日本の大人や子供も、しっかりと心に止めておきたい言葉ですよね。

それと、しっかりと子供達にも大きな優しさで対応する大人もいます。

例えば、クリスマスが終わり年末に多くの子供が実家に帰るなか、マルティンだけがお金がなく帰れないでいました。しかし、そんなマルティンに「クリスマスプレゼントだ」と言って、20マルクをプレゼントするヨハン・ベーク先生。

マルティンは「いつかお返しします」といったけど、「旅費はクリスマスプレゼントだ。返してもらおうなんて思っていない」という。このやり取りに、先生の大きな愛情を感じますね。

昔の大人って、たしかに、今よりも厳しい面がありましたが、同時に大きな優しさもあったと思いました。そういうことを思い出させてくれる、魅力のある大人ですね。

まえがきが長い

まえがきがやたら長いです。

ケストナーがこの物語を書くきっかけとか、どういうところで書いているのか、あと、近所の事など、書かれています。ベンチに座っていると、子牛が近寄ってくる様な、状況って、どういう状況?なにか、自然たっぷりの雄大さを感じてしまします。

それと、主人公であるジョニーの生い立ちが紹介されています。ジョニーがギムナジウムに入学するまでの内容です。

中々衝撃的な内容でした。昔はこういうひどい父親がいたものなんですね。

まえがきに2章使って書くというのは、発想が面白いですね。

まとめ

この記事では、
飛ぶ教室(ケストナー)を読んだ感想をご紹介しました。

ギムナジウムに通う子供達の勇気と成長と信頼と正義のお話。まるで、自分が子供に戻り体験しているような、そんな気持ちにさせてくれる本でした。

飛ぶ教室に登場してくる大人は、今の現代の日本の大人たちに参考にしてもらいたい様な、そんな大人たちです。子供に対して、厳しくも優しく接する大人たち。

僕も、今の時代を生きる大人の一人として、見習いたいなと思いました。

飛ぶ教室(ケストナー)はアマゾンで購入できるようです。

それと、「新約 飛ぶ教室」というのも発売されているようです。
こちらの本は、飛ぶ教室を現代風の言葉に翻訳されているということで、子供でも読みやすくなっているようです。

うちのゲームばっかりやってる息子に買ってみようかな・・・

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